5月 2日   ~ ここではない どこかへ (2) ~

両親や姉の話によると、子供の時から私は一風変わった不思議な子だったようです。
(自分でもかなり自覚あり。。)


学校でも先生の話を聞いているのか、聞いてないのか、教室のその場にいながら、
心はいつもフワフワ宙を舞いどこかへ。。本の中の世界、大抵は自分で作った
物語や詩の世界。。自分の世界に逃げ込むのが得意な少女でした。(笑)

とても恥ずかしがり屋で、器用に溶け込んで、すぐにみんなと仲良くなれる性格でも
なかったし、街の中心地から離れたのどかな自然あふれる所で自由に育ったので、
はじめて大勢の人たちの中に入り、大きな社会の中の学校という小さな社会に
窮屈に縛られるのが、少し怖かったのです。。


学校から家に帰って、ひとり外に出ると、自然の中で感じる香りに、
心が安らいだのを想い出します。


耳を澄ませば、すべての生き物、植物たち、そして私の心も
目覚めの時を迎える 3月。

まもなく春がやって来て、そしてまた一年の四季が巡り出す。



春風に誘われて、一斉に咲き始める花々の甘い匂いに、
重なり合うように漂う新緑のフレッシュな芳香。。


夏を告げる湖面に映った眩しい太陽と混ざり合う、
スコールを浴びて艶めく草花の匂い。。


散歩道に積もった黄金色の落ち葉と、
パチパチと音を立て煙る焚火の秋のにおい。。



初雪が降った日のピュアなパウダースノーに溶け込む、
透明感のあるひんやり冷たい空気のにおい。。




思えば、その時から自分の体から心だけそっと抜け出して、
ここではないどこかへ。。自分の居場所をずっと探し求めていたように思います。



大切にしていた「物」であれ、想い出の「香り」であれ、または「想い出の曲」、
「想い出の味」、時には目に見えないかたちのない空気のようなものだったり、
自然の奏でる雨音や風のざわめきだったり。。


何であれ、それらがきっかけとなって、今いる場所から自分を連れ出して、
一瞬にして懐かしい場所、なつかしい人たち、なつかしいものたち、
ずっと心が求めていたそれらすべてに引き合わせてくれる。


それが昨日のことでも、何年か前のことでも、大昔のことでも、
頭に思い描くだけで、時を超えてその場所へ、またすぐに逢いに行ける。


そのつかの間の旅は、一瞬にして五感を揺さぶり、
眠っていた感覚を目覚めさせ、心を幸せに満たしてくれるのです。



時には懐かしい日々を想い出して、感傷的に涙してしまうこともあります。

でもいつまでも沈んだままでいたりしません。

だって、目を閉じるだけで、そう、ここではないどこかへ。。

いつでもあの頃の眩しい日々に逢いにゆけるのだから。。




なによりも、あの頃の想い出たちが、

いつもずっと傍で優しく寄り添っていてくれるのだと思うと、

ぬくもりの温かいヴェールに包まれ守られているようで、

とても心強い気持ちになれるのです。











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つい2年前、何の心配もなく普通に安全に旅して来れたことが、
当然のことのように思っていたけれど。。

今、まさに私の心は、ここよりどこかへ。。です。
怖くて、一歩も外に出られません。

今は空想旅行を楽しむしかありません。。

世界中が大変なことになっていますが、日本もですが、
大好きなヨーロッパの状況もとても心配です。。

この苦難をなんとか乗り越えて、
世界中の人々が安全で平和に過ごせる日常が
一刻も早く戻ってくることを、心から願います。








お花屋さんから桜の枝を彼が頂いてきたので、飾ってみました。

まだ蕾だったので、花開くまでその様子を楽しむことができました♪

おかげで、お家でお花見ができました。
お花屋さんにありがとう。。です。










ウィーン・プラハの旅(2018年)から帰国後、買ってきたエリザベートのポストカードや
ノートなどグッズをテーブルに並べて。。











とても楽しかった旅を想い出して、あの時の幸せな気持ちが忘れられません。

また必ず、逢いに行きます。。






遅れに遅れているウィーン・プラハの旅行記(2018)ですが、
シュテファン寺院の旅のレポートをUPしました。

よかったら、ご覧になってくださいね♪



下の見たいコンテンツの薔薇のアイコンをクリックしてくださいネ!


      王宮 - ホーフブルク - 

       シュテファン寺院 

     カフェハウス・カフェコンディトライ編


















2月 18日   ~ ここではない どこかへ (1) ~

旅行記に取りかかる前はいつも、何百枚という数の写真の中から、
使う写真をピックアップして、画像処理をし、構成を考え、
文章をひとつ、ひとつ書かねば。。と、正直、面倒だなと思ってしまうことも。

でも、いざ取りかかってみると、旅の足跡を辿るように、順を追いながら
写真を選び、それぞれ文章を書いていると、たちまち気分が上がって来て、
いつの間にか、Happyな気持ちになっている。

まるで、2度旅してる気分!

たしかに長時間PCの前で、目はしばしばするし、肩はガチガチで、
疲れてはいるけれど、仕上げて転送し終えると、
頭も心もスッキリ気分爽快!!

取りかかる前とは一転、これほどまでに心というものは、
脳で感じること次第で変わるとは。。

その時、気づいた。

なにも、実際にその場所に赴くことだけが、「旅をする」ということに
なるのではなく、目を閉じて行きたい場所、懐かしい日々を想い出して、
自分の身はそこに居ながら、心だけ行きたい場所に舞い降りて、
心の中で想い出の場所を巡って行くのも、ある意味それも、ひとつの
「旅をする」ということになるのではないかと、そんなふうに思うのです。


心の旅では、実際にこの目で見て、触れられないし、そんなの
つまらない。。なんて言われてしまうかもしれないけれど、
これには「赤毛のアン」のような、ちょっとした想像力が必要です。


想い出の場所やこれまで旅した国々、行ったことのある場所だけでなく、
本を見ながら、まだ一度も行ったことのない場所を思い浮かべてもいいし、
心の行き先は自由。


ところで、その頭に思い描いた心の行き先、つまり、心の中にある
想い出の場所など、行きたい場所やあるいは懐かしい人など
逢いたい人たち、大切だったものなど、それらを想い出させるきっかけが、
たとえば、アルバムに貼られた写真だったり、ずっと大切にしまっていた
懐かしい友からの手紙だったり、偶然お店でみつけた、昔お気に入りだった
それによく似たカメオのブローチだったり。。そういった「もの」ということもあれば、

あるレストランで食べた料理で思い出した「想い出の味」だったり、
カフェで流れていた「想い出の曲」で、ふと当時がよみがえったり。。


私の場合は特に、「香り」が何かを想い出すきっかけを作ってくれることが、
いちばん多くあります。


ウィーンで買ってきた香水をつけた時はいつも、あの素敵なウィーンの街を
旅した日々を想い出す。。


庭で摘んだラヴェンダーでサシェを作る時はいつも、南仏のソーの村まで
レンタカーで巡って旅したことを想い出す。。


時々お洗濯の時に、昔使っていた柔軟剤に戻してみると、
「この香り。。あぁ、そうだ、イギリスで買ってきたアンティークのベビードレスを
何枚も手洗いしていた時の香りだ♪」。。と、すぐに頭の中には、
アンティークマーケットが連なったポートベローの蚤の市の光景が広がっている。


思い浮かべると、一瞬にして、あの時の場所、あの時の時間の中へと入り込む。


その香りを嗅いだだけで、大好きな場所へ心の旅をする。
懐かしい日々を想い出しながら、心は軽やかに時間旅行するのです。


香りは特に自分が心地よいと感じる香り、昔馴染んだ香りであればあるほど、
心の記憶を呼び覚まし、なつかしい想い出の場所へと導くカギとなってくれる。


嗅覚だけでなく、脳を刺激し、その香りに脳が反応して、心地よいと感じれば、
そのシグナルが全身に送られ、幸せなオーラに包まれる。


その中に、私の子供時代へと連れて行ってくれる想い出の香りも、
たくさんありました。そして、そこにはいつも一緒にいた家族の姿がありました。



祖父のアトリエの油絵具とパイプ煙草の混じり合った独特なにおい。
絵の邪魔をしないように、姉と二人でアトリエに入った日のことを想い出します。

子供の頃は、その鼻につく独特なかおりがちょっぴり苦手でした。
不思議なもので、心のどこかに記憶に留めていたのでしょうか。。

今も目を閉じて思い出すと、当時の祖父のアトリエを映し出すと同時に、
あの独特な香りまでもが、フッとなつかしい想い出に漂うかのようによみがえるのです。



祖母の台所にはいつも、テーブルにはお気に入りのチェックのクロス、
その上には、ほのかに甘い香りに包まれてぶどうや林檎、洋梨など
フルーツの入ったガラスや木製のコンポート皿が、飾られていました。

北欧風のお鍋の中からはいいにおいがして、時々作ってくれたコクのある
あのビーフシチューの味が、今も忘れられません。

そして寝室に入ると、ラヴェンダーや白檀のような心安らぐ香りがして、
戸棚には、フランス、オランダ、スイス。。旅して集めてきた各国のお人形たちが
きれいに並んで飾られていました。時々、その扉を開けて、祖母の大切にしていた
そのお人形で姉と遊ばせてくれました。

今 想い出すだけで、逢いたくてたまらない。。
大好きな私のおばあちゃま。




子供の頃、父が姉と私、弟の手を引いて、よく連れて行ってくれた森は、
ひんやりとした静けさと湿った落ち葉や苔のにおいがしました。

暗い森の中を奥まで進んで行くと、ちょっぴり恐くて。。
でもある日はきのこ採り、ある時は、木の実探しと、
かごいっぱいになるまで採るんだと、心弾んだのを覚えています。

あの頃の想い出は、神秘な世界にドキドキ、わくわくしながら、
好奇心いっぱいの子供時代にしか経験できない、すてきなおくりもの。

なぜ父が、まだ幼い私たちの手を引いてまで、森や山、湖に行き、
自然の真の姿を魅せに連れて行ってくれたのか、
その本当の意味を、おとなになってようやく知りました。





母の自慢だった庭の咲き乱れる花々の甘くふくよかな香り。。

母の庭への愛情に応えるかのように、毎年、アーチいっぱいに花を咲かせて
くれたクリーム色の薔薇。フルーティーな甘い香りがして、大好きでした。

私が担任の先生に持って行ってあげたいと言うと、母はバラの棘を取って
花束にして持たせてくれました。芳しいバラの香りに包まれて、
学校までの長い道のりも、幸せでした。

今はもう、あの庭も、薔薇のアーチもなくなってしまったけれど、
あの日の想い出のバラは、みずみずしい香りと共に、
私の心の中でずっと咲き続けています。





( 次回につづく。。)









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ウィーン・プラハの旅行記(2018年)、「ホーフブルク・王宮」をUPしました。
よかったら、ご覧下さいね☆

「ホーフブルク・王宮」







ウィーン・プラハで買ってきたお菓子など♪




「HEINDL」のシシィのチョコレート菓子、「LESCHANZ」のスミレやリラの花のチョコ、
「ゲルストナー」のスミレの砂糖菓子、ミュシャの缶入りキャンディーなど。
これはほんの一部♪


自分たち用と家族や親しい人にあげるお土産用と、
同じものを何セットも買ってきました。

お土産だけでもかなりの荷物になるから、大変です!









ハーブティーが大好きなので、いろいろ買ってきました♪

本当はもっと買いたかったんだけど、トランクとバッグに
入りきらなくなってしまって。。残念!
















1月16日  ~ もう少しだけノエルな気分☆ ~

新しい年がはじまりました。

あっという間に新年を迎えてしまいましたが、今年の冬は暖かいので、
1月という実感があまりないです。。


そして毎年思うことですが、クリスマスからお正月までのスパンが短すぎて、
心も身体のコンディションも整わないまま、慌ただしく新年を迎えることになってしまいます。

お正月の賑やかな雰囲気も嫌いというわけではないけれど、
どちらかというと、やっぱりクリスマスのロマンティックな雰囲気のほうが好き☆

もう少しだけ、このキャンドルやツリーのあたたかな灯りの中に浸っていたいなぁ。。
そんなふうに思うようになって、もうかれこれ何年。。。

マイホームができてからは、我が家では、1月中もツリーを出したままにすることが恒例となりました。

私なりに考えた末、こうすることで、心のバランスを保つのです。。(笑)

クリスマスツリーやサイドボードなどに飾っているトナカイさんたちにも、
もう少しだけ一緒にいてネ!とお願いしています♪






ケーキを切り分けてから、写真を撮るのを忘れていたことに気づいて、
急いでテーブルのコーナーにセッティングして撮ってみました。
(いつも余裕がなくて、ダメですね。。)









いちじくとリキュールに漬けたドライフルーツ&マロンクリームのケーキを作りました。

このレシピは初挑戦だったけれど、美味しくできました♪









毎年ツリーを飾っていた場所に、昨年の春にお迎えしたアンティークの
サイドボードを置いたので、ツリーを飾る場所を今回から変えてみることにしました。








リビングのテーブルの上のケーキと一緒にツリーの写真が撮れるので、
ここの場所に変えてみたらいいかも♪








ツリーの枝に小鳥のオーナメントをとまらせているのだけど、見えるかな。。

時々、鳥さんに話しかけています☆







昨年の春頃お迎えしたアンティークのサイドボード。

わかりにくいかもですが、半月型の珍しいかたちに、一目惚れ。
艶のある木目とハーフムーンのカーブがとても美しいのです。

一応サイズを確かめておいたけれど、置こうと決めていた場所に
ピッタリのサイズで収まったので、びっくりしてしまいました!

空いている壁のスペースには、ウィーンで買ってきたエリザベートの
ポストカードを額に入れて、アレンジして飾るつもり♪














ツリーを飾るこの時期だけは、なぜか胸の中にしまってこらえていた感情があふれ出すように、
心の扉を開けて、自分の気持ちに素直になれるような気がします。


時計の針は午前1時をすっかりまわって、街中のみんなが寝静まった時間、
シーンと静まり返った中に身を置くと、とても心が落ち着く。

私を、私個人としての人間に戻してくれる時間。


まわりはすっぽり夜の闇に覆われ、ほの暗い部屋の中で、
ツリーのイルミネーションをぽっと灯す。

手作りのクリスマスケーキの最後の一切れで、ゆっくりティータイムをしたり、
サイドボードやマントルピースの上のトナカイさんやきらきら輝くオーナメントを眺めたり。。

この特別なひとときが、私はとっても好き。



こんな時に、メッセージの言葉や旅行記の文章などが、パッと浮かんでくるのです。

忘れないうちにノートにざっとメモして、あとで文章を立て直します。


ツリーのあたたかな灯りで、心はとてもリラックスしていくのに、
脳はスッキリと冴えてゆく、不思議な感覚。。


うれしいことも楽しかったことも、直面しなければならなかった悲しい出来事も、
すべてのシーンが心の中に鮮明に映し出される。


遠い日のなつかしい想い出。。

泣いたり笑ったり、ストレートな感情むき出しだった私。。

いろんな世界の扉を開けてみたくて、好奇心いっぱいだったあの頃。。

どこに行ってしまったのかな。。

もう手を伸ばしても、取り戻せないのかな。。

それとも、まだこの心の片隅にいてくれているのかな。。

そうだったらいいな。。


そんな想いを巡らせながら、静かな時間はゆっくり流れて行きます。




そして、そろそろツリーを仕舞う頃、私の心の扉にも、

そっと 鍵をかけるのです。。












今年もゆっくりマイペースで歩んでいきますが、旅行記の方も
できるだけ更新できるようがんばりますので、よろしくお願い致します。